階段を下りているところで気が付く。
母のところへ行っても、バケモノがいなくなるとは限らない。
「…どうせ一晩だけ…」
この家には蒼さんに頼んでバケモノ封じの細工を施してもらっている。
だからたぶんバケモノは入ってこない。今までもそうだった。
「……大丈夫」
『どこが』
「ぅわぁぁあああ!?!?!」
布団にもぐり、耳も塞いでいた私にかすかな声が聞こえ、目を開けるとそこには変な生き物がいた。
ウミウシみたい…。
「だれ?」
私はなんとなく、そのウミウシ(のようなもの)が遠隔操作で誰かが操っていると思い、声をかける。
『熾音だよこのデカ女』
「…なんで?」
ウミウシ(のようなもの)が私に近づく。
透けているウミウシ(のようなもの)は猫(のようなもの)へと形を変えた。
『もう大丈夫』

