【短編】ing

なにがなんだか分からないまま帰る準備を終わらせて、私は杉谷君を待った。


嘘だったらどうしよう、とか。

男子を何人か連れてきて、からかう対象にされたらどうしよう、とか。

先に帰って、明日「ホントに待ってたの?」って言われたらどうしよう、とか。



とにかくいろんなことを考えた。

でも、席が前後になって1ヶ月。


私の知っている杉谷君は、
私が好きになった杉谷君は、
そういう人じゃなかったはず。



そう言い聞かせた。


大丈夫、大丈夫、大丈夫………って。



でもなかなか杉谷君は来なかった。


心の片隅でわずかにだけど期待してた自分が情けなくなった。