コンコン

「はーい。」

保健室から大好きな先生の声がする。

「失礼しまーす。はい、保健便りの原稿です。」

「おう、清水か。いつも悪いね。お前ばっかりに仕事させちゃって。」

「いえいえ。」

保健室の真ん中に位置するイスに腰掛けた。

「今、チェックするから待っててくれるか?んで、ここで仕上げちゃって欲しいんだけど。」

「いいですよー。」

「……ココアでいいんだよな?」

「はい。コーヒー飲めないの覚えててくれたんですか?」

まあな、って言いながらココアをいれてくれる先生。あ、そうだ、と私のココアと自分のコーヒーを机に置きながら話しだした。

「なんですか?」

「清水って、好きな奴とかいないの?」

「……へ?」

「深い意味はないよ?」

ってちょっと慌ててる先生。深い意味がないのにそんな言葉出てくるの……?

「……好きな人、いません。」

「そっ、か。」

「先生こそ好きな人いないんですか?」

さあな、って笑いながらさっき渡した原稿を読み始めた。

「先生、人気あるのに。」

「田中ほどじゃないがな。」

田中先生は人気No.1の先生。