「父はまだかなー」 僕は着替えをすますと 父の姿を玄関で待っていた。 「まだ帰ってこないわよ」 おかしそうに笑ながら母は言った 「待ちどおしくて仕方ないんだ」 「私もよ、朝から腕によりをかけてご馳走つくりすぎたわ」 僕と母は数秒見つめ合うと 同時に笑いあった。 けれどこの日 どれだけ待っても 父は帰ってこなかった…