(おかしいよ…。私と葉山くんが、殺すの?ふたりで?)



 かなえも体を震わせ、視界が潤んでいくのを感じていた。文字通り、度肝を抜かれた。


 こんな恐ろしいゲームだからこそ、パニックに陥った。




「待って、みんな、落ち着いてぇ!」



 優香がほとんど叫ぶ形で呼び掛けた。



「ルールの紙には、何も、呼ばれる…指名されるのが必ずしも1人だなんて、明記されてないでしょう!2人の名前が呼ばれたのは、全然、ルールに則ってるよ!」


 だから、今までのように従うほかない、と叫ぶ。


 優香の言葉に、クラスメイトたちは若干、落ち着きを取り戻した。


 かなえは、健太に促され登壇する。その背中は震えていたが、一方で健太は平然としていた。



「葉山と、宮河さんの文字数を合わせると…」


 そう言いながらも千春は、陽菜の傍に寄る。そして、両手の指を使い、恐る恐る数え始めた。


 その間も、この人数の輪に、自分は入れるだろうか。もし余れば、殺戮の舞台へ立つことになる、そんなの嫌だ、と逡巡した。