最初に、あの男を追い込んだ。あの時、初めて会ったのに、彼女に手を掛けた許せない男。


 彼女が再会した時は、妻子持ちで、会社員になっていた。



 ────罪を忘れているとでもいうのか。

 自分を壊したあの男。幸せそうに笑うアイツを許すことなどできない。


 どれほど、私が苦しんだか?私の心が、何度死んだか?


 あの男は、それを知らずに笑っていた。




 彼女は、得た富を使い、煌びやかなドレスで、あの男の行きつけのバーへ行く。そこで、男に寄り、色仕掛けで、誘いを掛けたのだ。


 彼女のことをすっかり忘れた男に警戒心はなく、鼻の下を伸ばし、美しい彼女に魅了された────。



 妻帯者とは、思えない軽はずみな判断。それは、仇となった。




 男をホテルに呼び出し、脅迫し、社会的に抹殺するのに、そう時間は要らなかった。