「確かに、みんな気にしてないみたいだけど、かなり怯んでたような」



 陽菜はそう思ったが、千春と光太はそこまでではないと否定した。声の調子が悪かった程度のものだと。


 陽菜は、何やら思い詰めるような表情を浮かべていた。







 それから、しばらくしてからまた、放送が流れた。



『3年A組に残っているもの、早く帰ること』



 命令口調だ。まるで、監視しているみたいで。


 実際、3年A組には数人の女子生徒が椅子に座ってお喋りをしていた。しかし、この放送後、教師が見回りに入り、大人しく下校した



「なんとなく…気味が悪いな」



 光太が小声で言う。



「うん…」


「クラス全員残すって、ただ事じゃないよね」



 千春は不安そうに呟く。

 陽菜も光太も、それを肯定するように黙りこくった。





ピンポンパンポーン───



 また、放送が。



『この校舎に2年B組と教師以外はいなくなりました。
2年B組の者────ゲーム参加者たちは、列に並び体育館へ向かってください』



「はぁ?」


 みな、意味がわからない…とでも言うような、苛ついた声色で騒ぎ立てる。



 それもそうだ。HRでも、放課後、体育館に集まるだなんて一言も聞いていない。急に、言われても、となる。


 そして、“ゲーム”という謎の単語。そんなイベントじみたことは知らされていない。