正気、というのは妥当な言い回しだった。光太の精神状態も、ギリギリの縁に追いやられていた。ふとした拍子に狂ってしまうのではないか、という危惧がある。
「うん…」
陽菜は、浮かない顔で答える。
「具合、悪かったら…その、無理するなよ。見なくてもいいから」
「さっきも、同じ事言ったね」
ふたりの会話に笑顔は一切なかった。
そして、そのふたりを見つめる千春の表情は、複雑で、多少の嫉妬心はあったものの、舞台に立つ百合香のことを思うと、嫉妬することも許されないような気がした。胸が、痛む。
それから、陽菜と千春と光太を含めた、5人のグループが結成された。
他のグループを見やると、今回は、かなえもグループに入れたようだ。誰かが、かなえの傍についていたのであろうか。
円になって座る。このクラスは、既に23人になってしまっているので、百合香の、ひとり分を抜いて計算すると────今回は、2人余る。
(23人しかいない!)
このクラスには、もう、23人しかいないのだ────!
6人の同級生は、故人となってしまった────!
「なんでわたしなの!?」
「お前ら、見捨てんのかよ…!」


