「ねぇ…陽菜。もうみんな集まってるよ?」
ゾクッ、と陽菜の背中が凍った。
それは、千春の声だった。振り向くと、千春は笑っていたりしなかったものの、薄気味悪い表情を浮かべていた。確実に、普段の千春とは掛け離れている、まるで犯罪者のような目付きだった。
「ちぃ…」
先ほどのショックで、精神が、一線を通り越したのかもしれない。
しかし、それは千春だけではなかった。クラスメイトのほとんどが薄気味悪い表情を浮かべている。
「陽菜」
「あっ、光太…」
光太は、陽菜たちと同じグループに入ってきた。
「明らかに変だよな…」
光太も、異変に気付いたようだった。
「限界を、超えちゃったって感じ…」
陽菜は舞台に立っている百合香を見る。
ここから見てもはっきりと分かるくらい、ガクガクと細い足が震えていて、今にも崩れ落ちそうだ。青褪めきった頬、瞳には恐怖が浮かんでいる。
行動するかしないかは、自分次第だが、今、百合香は、ゲーム的に言うと人を殺す立場にあるのだ。
「光太は、平気なの」
「嫌なもんばっか見たけど…多分、まだ正気。陽菜は、大丈夫か?」


