ピンポンパンポーン───



 再度、放送が流れる。



『2年B組の人は、放課後残ってください。それ以外の人は絶対に今すぐ帰ること』



「2年…B組…?」



 みなが騒つきだす。



「ど、どういうこと?あたしたちのクラスだよねぇ?」



 千春が慌てたように言う。



「…みたいだね。誰か、やらかしたとか?」



「私、このあとすぐ塾なのに…。帰らないと、時間になっちゃうよぉ」



 千春は、進学塾に通っていて、大学もいいところに受験するそうだ。

 そもそもこの高校自体が、進学率が良いため選んだらしい。陽菜は、仲良しの千春と過ごしたかったから、猛勉強し、この高校に入学した。



「なぁ、それより、放送の声、武本じゃなかったか」



「あっ、光太」



 後ろから、陽菜の幼馴染の立花光太がひょこりと現れた。

 光太は千春同様、小学生から仲が良くて、大体一緒に過ごしている仲である。ただ、千春と光太はそこまで話さなく、千春の方にわだかまりがあるように見受けられる。



 しかし、結構気さくな性格で、人当たりもよく、二人共光太には一目置いている。陽菜は、色恋沙汰ではないと否定しているが…。



「放送…。あぁ、そういえば、武本先生だったね。なんか、少し震えてたかも」



 千春が思い出したような感じで言う。