百合香がどのような意図で、この行動に移したのか。百合香は何も語らない。慄然とするかなえを蔑むように見つめる。
「あ…っ」
言わずとしても、分かる。かなえに、殺せと命じているのだ。晴人を。
百合香は銃を下げない。仮にかなえが百合香を狙っても、優香を殺した彼女ならばきっと、かなえを撃つだろう。
かなえは、意を決した。心拍数が異常に高まり、激しい目眩に襲われながらも、銃口を晴人に向けた。
「や、め…」
怯んだ晴人。しかし、かなえは目を瞑り、無作為に乱発した。
「ぐっ────…あ、ああ」
晴人に吸い込まれるようにして2発の弾は命中した。
流れ弾が、百合香に当たりかけるが、彼女は咄嗟に床に転がり込んだ。
「殺、した────?私、変われたの?」
(どうかなどうかなどうかなどうかな)
かなえは斃れた晴人を見下ろす。
ようやく、できた。今まで逡巡していたのが嘘みたいに思える。笑いさえ、込み上げてきた。
(小日向百合香なんか、もう怖くない!)
そのままの勢いで、銃口を百合香に向ける。


