「変装してんだからいいじゃん?」
あ、そうでした…
でも、手なんか繋いだらますます辛くなるのに…
八神君は強引に私の手を掴んで離さない。
ずるいよ…そんなことされたら離せなくなる。
「普段はこういうこと大っぴらにできないんだからさー、今日は思いっきりイチャつこうよ」
「……ウン」
これで最後―――
良い思い出にするの。
そう思えばいいんだ。
今はこの手を離せないから…
私達は画材屋に寄って必要な物を買い、ついでにカフェでランチをすることにした。
土曜日という事もあって、店内は混んでいた。
「オシャレなお店知ってるんだね」
「あー、前に教えてもらった」
そう言いながらメニューに見入っている。
教えてもらったって…元カノかな。
そんなことにイチイチ胸が痛くなる。
八神君にだって彼女のひとりやふたりいるに決まってるじゃない。



