先生と呼ばないで【完】



「なに…?」



箸を持つ手に力が入る。




「…俺たち、そろそろ結婚しないか?」




け、けっこん…




今まで私達の会話の中に、一度も使われたことのなかったフレーズ。


まさかこのタイミングで京平が言うなんて。




「急に…どうしたの?」



「急じゃないよ、前からずっと考えていたんだけど」



「でも、私まだ仕事が軌道にのってないし…」



「だから式はもう少し先でもいい、入籍だけでもしないか?」




少し前なら嬉しかったはずの言葉。



でも最近は仕事に夢中で、結婚の事を考える余裕すらなかった。




「……いやか?」



京平は黙りこくった私の顔を覗き込んだ。



「ううん、イヤじゃないけど…」