先生と呼ばないで【完】



「八神…」


その時、京平が私たちに近づいてきた。


申し訳なさそうな表情で頭を下げている。



「本当に申し訳ないことした…」


「え?何が?」


八神くんは半笑いでそう言った。



「お前の描いていた絵を…やぶったのは俺だ。お前に嫉妬してあんなこと…本当にすまないと思っている」


頭をあげない京平に、八神くんは「松原センセーもういいよ」とつぶやいた。



「許してくれる…のか」


「許すっていうか…まぁ破られた時はムカついたけど、感謝してんのも本音で。そのおかげでまた1からあの絵を描くことができたし」


「あれ…俺も見に行ったよ。すごかった…本当に。俺、お前の才能に嫉妬していた部分もあったのかもな」


「俺だってさー、先生のこと羨ましかったよ?小春ちゃんを養える力も持ってるし、大人だし。この俺だって自信なくしたこと何度もあった」


そうだったんだ…八神くんそんなこと一言も言わなかったから気づかなかった。