ノーチェ



次第に雨は強まり
店内で流れるBGMよりも大きな程あたし達の耳に届いた。


「何か本降りになってきちゃったね。」

「だな。」


デリバリーしたピザをみんなでつまみながら菜月はぼんやりと外を見る。


「あ、ねぇ!そう言えば薫くんって、どうしてあの合コン来たの?」

「…ぶっ!」

流れを変えるように菜月が切り出した話に
一番反応したのは啓介くんだった。


あたしと薫が出会った、あの合コン。

そう言われれば
あの中で一人、薫は浮いてるような感じがした。



「ちょっと、大丈夫?」

何故かビールにむせた啓介くんの背中を撫でる菜月を横目に
薫は笑いを耐えている。



「何?何か隠してるーっ!」

「べ、別に、隠してないっての!」


そんな二人のやりとりに薫が口を挟んだ。

「いや、まぁここだけの話、本当はあの合コン啓介が行くはずだったんだよ。」

「え?」


啓介くんが?