ノーチェ




…夜はやっぱり好き。



静かで、穏やかで。
このまま、朝なんて来なければいい。


昼の世界は見えなくていいものが見えすぎて
全てから、逃げ出したくなってしまう。



―いっその事
全てが闇に消えてしまえばいいのに。




……………


「誕生日おめでとーっ!」


みんなで乾杯をして
その後、それぞれでグラスで挨拶を交わす。

内側から鍵を閉めて
今日、この夜はあたし達だけの物になった。


「はぁ~、莉伊ももう23かぁ。」

「明日で、23ね。」

わざと付け加えるように菜月に伝える。



誕生日前日。

明日はあたしの都合が合わないって事で
急遽、お祝いしてくれることになった。


いつもはしっとりとしたこのバーも派手な飾り付けにR&Bがかかり、たった4人しか居ないのに

いつも以上に騒がしかった。