雅哉くんの浮気癖が酷くて、悩んでる菜月を元気づけようと連れてったのに
どうしてそうゆう事になっちゃう訳?
『相手の心が見えればいいのにね。』
脳裏に刻まれた、菜月の悲しみを含んだ揺れる瞳が蘇る。
あの気持ちは、どこにいっちゃったの?
「莉伊。」
段ボールを片付けるあたしを呼び止めた菜月は
「あたし、啓介の事、ちゃんと好きだから。」
と力強い視線をぶつけてきた。
「菜月……。」
あまりの強いまなざしにさっきまでつっかえてたモヤモヤが吹き飛ぶのがわかる。
「…あたしっていつも直感だけで好きになっちゃうんだけど、啓介は違うんだよ。」
すごく、好きなの。
そう言った菜月の瞳に、嘘はひと欠片も見えなかった。

