ノーチェ



そんなあたしの疑問は菜月の言葉によって遮られた。


「運命、って信じる?」

「は?」


う、運命?



店先に花たちを並べ終わった菜月は
ショーケースを開けて補充してゆく。


「ほら、薫くんと莉伊がダーツ勝負してた日。」

「…菜月が酔っ払って啓介くん家に泊まった時?」


薫が、自分の過去を
あたしに話してくれたあの日。




「何か、そうゆう雰囲気になっちゃって…。」

「そうゆうって…、あんたねぇ…。」


もうダメだ、この子。


頭を抱えてレジに肘をつくと

「でもでも!ちゃんと合意の上だよ?」

と慌ててその場を繕う菜月。



「あのねぇ、そうゆう問題じゃないでしょ?」

まるで幼稚園児と話してるような、そんな気分になる。