……………
「いやぁ~わりぃな、乗せてもらって。」
そう言って煙草をふかす薫の態度は言葉と矛盾が生じてる。
「あの、この車禁煙なんですけど。」
「んな固い事言うなよ。」
ちっとも意味を理解していない薫に
大きな溜め息が出た。
…どうしよう。
こんな所、店長に見られたら…。
そう考えただけで身震いすら感じる。
なるべく人通りの少ない裏道を使ってハンドルを握り締めるあたしは
「で、どこまで行けばいいんですか?」
と信号待ちの空き時間に訪ねた。
「あぁ、そこ右。」
くいっと煙草を持った手の親指で右折しろとサインする。
…答えになってないんですけど!
再び出そうになる溜め息を堪え、青信号に変わったと同時にハンドルを右へ回転させた。

