「心配してたのよ?お父さんだって…、」
「親父の話はいいって。俺は荷物取りに来ただけだから。」
腰まで伸びた黒髪は
寝癖など一つもない程美しくなびく。
まるで雪のような真っ白の肌は、この降り注ぐ太陽の下に晒してはいけないような気さえしてしまう。
そんな彼女に、薫はそっぽを向いた。
気まずい空気の中で薫との視線がぶつかる。
「あっ、あの、これ!」
その場を取り繕うように花束を差し出すあたし。
見てはいけないものを見てしまったような、そんな罪悪感からか彼女を真っ直ぐに見つめられなかった。
「あ…ごめんなさい、私ってば…!」
慌てて薫から離れた彼女は手にしていたお財布からお金を取り出してあたしに渡す。
「ちょうど、お預かりします…。」
領収書を渡して、一礼するとあたしは逃げるように車へ戻ろうとした。
「おい、」

