ノーチェ



『はい、』しばらくしてインターホンから聞こえた声に

「あ、フラワーショップノエルです。ご注文頂きました花束お持ちしました。」

と告げると、『今行きますね』そう言って通信が切れた。



透き通るような女の人の声。

大きな門から顔を覗かせると、広い庭園に色とりどりの花がその存在を主張してる。




すごく花が好きな人なんだと思った。




そのまま花束を抱えて待って居ると

「おい、」とどこか聞き覚えのある声に
あたしは視線を横に向ける。




「何してんだ、あんた。」

「……っ!?」


驚きのあまり、言葉も出なかった。

危うく落としそうになった花束を寸でのところで抱える。



傷だらけのエンジニアブーツ、腰から下がるウォレットチェーン。



昨日合コンで会った、薫だった。