ノーチェ



「違うよ、そうゆうんじゃなくて…。」

花ばさみで茎を切ると
シャキン、と気持ちいい音が鳴る。



「いいよ、いいよ!別に言い訳なんかしなくてもっ!」

「へ?」

「あたし、薫くんと莉伊が付き合ってくれたら嬉しいしー!」

「だから、違うって!」


まるで自分事のように喜ぶ菜月に、もう何を言っても照れ隠しにしか聞こえない。

否定すれば否定する程、菜月の言った言葉を肯定してしまうようだった。




しまいには

「おめでと!結婚式は呼んでね!」

なんて言う始末。


「あたしも啓介と結婚したいなぁ。」



ぼやく菜月を横目に
あたしは頭を抱えた。


あぁ、もう。
今菜月に何を言っても無駄だ。


潔く諦めて、あたしは花束作りに集中した。