ノーチェ



幸せな笑顔、とはまさに菜月の笑顔の事だろう。

だけど、あたしは直にその指輪を見る事が出来ない。



心の中の罪悪感がふつりと湧き上がる。


左手の薬指は
あたしのトラウマになっているのかも。

あまり、気持ちのいいものじゃなかった。




「あ、そうだ!」

と、突然思い出したように口を開いた菜月は
あたしの居るレジへと走り寄ってきた。



「今日、花火大会あるの知ってる!?」

「…あ~、あの土手沿いの花火大会?」

「そうそう!」


少女のようにポニーテールを揺らす菜月は

「啓介のバーから、その花火見られるんだって!」

そう言ってレジに身を乗り出した。



「で、啓介のバー貸し切りにしてみんなで見ないかって話なんだけど!」