ノーチェ



赦して欲しい、なんて思ってない。

そんな事、言えるはずもないってわかってる。



だけど
間違いじゃない、間違ってなんかないよ、そう誰かに言って欲しかった。


間違った恋なんて、手放すべきだとちゃんと理解してる。

それでも、あたしは桐生さんの傍に居たいと願ったの。




例え、終わりの見えてる恋だとしても。





「…ありがと…。」

ついて出た言葉は
やっぱり感謝だった。

揺れる瞼を精一杯開いて薫を見つめる。



そんなあたしに

「…おやすみ。ゆっくり寝ろよ。」

と言った薫は、せっかく立てた髪の毛にヘルメットを被せて
来た道のりをバイクで走り始める。



一瞬にして小さくなる薫の後ろ姿を
あたしは見えなくなるまで見つめた。