「でもさぁ、」とまだしつこく口を開く菜月に子供をもつ親の気持ちが少しだけわかるような気がした。



「でも、何?」

溜め息を吐き、菜月を追い越してレジへ向かう。

そして予約簿を取り出したあたしにレジの前に立った菜月は、相変わらず突拍子もない事を口にした。




「薫くんは、莉伊が好きだと思う。」

…予約簿を開いた手が止まる。



「はぁ??」



薫が?あたしを?

「…何で?何でそう思うの?」

「ん~何となく。」



何となく、かよ。
小さく心の中で突っ込んで、ボールペンをノートに置いた。



「あのねぇ、菜月。言っておくけどあたしと薫は本当、そうゆうんじゃないから。」

それに、と付け加えると

「薫、好きな人居るらしいし。」

とダメ押しで告げた。