最凶の天使

 何も知らない人間に持たせている事が最も安全な隠し方ではある。

 自分が持っているなどとは知らないのだから当然、詮索されたとしてもその表情から窺い知る事は出来ない。

 ありきたりかもしれないがもちろんこの二人はそれを良しとは考えていない。

 日本という国において、一般人をあえて危険に巻き込むなど許されない事だ。

 その諜報員についてもベリルにはよく知る人物ではある。

 彼は国のためにと動いているし、国の人間として働いているため強く言うことも出来ない。

 ある意味、ベリルにとっては苦手な相手かもしれない。

 相手にとってそれが悪や害であってもいとわないそれなりの信念を持ち、ひたすら自国の利益ために動いているのだから。

 それを否定する気も質す気もないのだが、付き合いづらい相手には変わりない。