もういいわ、もしかしたらと思ったあたしがバカだったのよ。

「じゃあこれで」

 と、立ち上がろうとした幸子の手首をダグラスと名乗った青年は掴んで制止した。

「だから、悪いけど無理」

「は?」

 なに言ってんの。

「見つかったら拷問されるよ」

「へっ!?」

 なにをにこやかに言ってんのよ。

 無駄に爽やかなのよあなた、拷問てなによこのご時世に。

 不信感バシバシに幸子は青年を見下ろした。

「本当だよ」

 見上げる瞳に胸がキュンとなる。