「それは役に立ったかね」

「え? あ、はい。凄くいいですこれ!」

 示されたストールに笑顔で答えた。

「それは良かった」

 よく通る声が幸子の耳をくすぐる。

 でも、どうしてこのストールの感想を訊いたのだろうか。

 不思議に思っているとダグラスがそれに答えた。

「それはまだ試作段階のものなんだ」

「あ、そうなの?」

「わびとして差し上げよう」

「えっ!? そんな悪いです!」

 これ凄く薄くて肌触りも良くて使い心地も最高だけど試作品て事は割と高いんじゃ!?

 幸子は目を丸くして、くれると言ったベリルに手を振る。

 あまり遠慮しているようにも見えないが。