「あ、あの」

 おずおずと二人の前に立ち止まると、幸子はベリルに視線を合わせられずにいた。

 想像とは違い見目麗しい容姿に目眩すらしそうだ。

 傭兵ってこうじゃないよね?

 この二人が特別なんだよね!?

 幸子は山に叫んで問いかけたい気分だった。

 しかし山は暗く迫り来るようにそびえているだけだ。

「大丈夫だった?」

「あ、うん。あとで精密検査は受けなさいって」

「それがいいね」

 柔らかな笑みで発したダグラスの隣にいたベリルは、幸子にスラリと伸びた手を向ける。