最凶の天使

そうして二人は遠くに見える幸子を見つめた。

「結構大変だったんだよ~。まずこっちを信用させないとにっちもさっちもいかないんだから」

「そうか」

 溜息混じりに肩をすくめるダグラスにクールに返した。

 それはまるで、何事もなかったかのように冷静かつ無表情だ。

「余計なことベラベラ喋らなきゃならなくてさ~、ベリルとの出会いまで喋っちゃったよ」

 それにベリルは初めて眉を寄せる。

 ダグラスは口の端を吊り上げて、その表情を楽しむように続けた。

「大丈夫だよ、あのことは話してないから。どうせ言ったって信じないだろうけどね」

 ベリルが実は不老不死だなんてさ。