「そろそろかな」
ダグラスがぼそりとつぶやいてすぐ、いくつもの破裂音が幸子の耳に響いた。
「なに?」
いぶかしげに音のした前方に目をこらした。
徐々に見えてきた数台の車と時折輝く光は、テレビの銃撃戦を思い起こさせる。
通り過ぎる頃には音は消え、一人を縛り上げている影が幸子の目をかすめた。
それから一分ほどして、道路の左側に駐車場らしき広場が見えてくる。
赤いランプがいくつもくるくると回っていて何台ものパトカーや救急車が駐まっていた。
駐車場には遮断機も受付もなく、アスファルトに白線を引いただけの自由に使用出来るものだと解る。