最凶の天使

「あの、車盗んじゃったけど」

「借りたの」

 言い直すように発したが、盗んだ事の言い訳にしか幸子には聞こえない。

「そもそもこれに乗るように促したのはベリルなんだから」

「え!?」

「これはベリルの車なの」

 言われて幸子は納得した。

「ベリルの車はどれも特別仕様だからね」

 車内に視線を送り懐かしむような表情に、幸子も無意識に笑みを浮かべていた。

「いいなぁ」

「何が?」

 つぶやいた言葉にダグラスは小首をかしげた。