最凶の天使

 ダグラスは距離を確認して一気に飛び降り、幸子を見上げた。

「いける?」

 尋ねられて下をのぞき込む。軽く二メートルはある高さにぎゅっと目を閉じた。

「む、むりよう~」

 身をすくませて絞り出す。

 ダグラスは安心させるように笑顔を作ると両手を広げた。

「心配いらない、俺が受け止めるから」

「え、ホント? ホントに大丈夫?」

「思い切って飛び込んで」

 どうしよう、彼が王子様に見えてきた。

 これで彼が受け止めるの失敗したら本当の天使に見えるかもしれない。