「えーと、日本だとなんだっけ。そう、格好いい軽トラだよ。荷台のある4WDみたいな。黒いけどあそこには街灯があったからすぐに解ると思──」

「いやよっ」

 幸子は出来る限りの声で拒否を伝えてうずくまる膝に顔を埋めた。

 小さく震える肩にダグラスはじっと幸子を見つめた。

「なんで、あたしがこんな目に遭うの? ひどいよ、怖い。なんでそんな兵器を日本なんかに持ってくるのよ」

「そうだね。好きでこうなったんじゃないのに巻き込まれる人はたくさんいる」

 静かに応えたダグラスに幸子は涙を溜めた目を向ける。

「そこにいるからって戦争が好きって訳じゃない」

 コンビニに行って強盗に出会うのと変わらない人たちだっている。