「なんであたしがこんな目に遭わなきゃならないの? 家に泥棒が入ったり彼氏と別れたり、踏んだり蹴ったりだわ」
「あ、そうなの?」
「か、勘違いしないでよ! あたしからフッたんだからね!」
「違うよ、泥棒の方」
「あ、ああそっち」
慌てて弁解したようになった自分が恥ずかしくて目を泳がせる。
「仕事から帰ってきたらドアの鍵が開いててね、もうぐっちゃぐちゃにされてたの」
その時の事を思い出して肩を落とした。
「何か盗られた?」
「通帳と万札を何枚か。でも印鑑は無事だっから次の日すぐに銀行言って通帳の再発行してもらったわ」
「災難だったね」
「ホントよ」
「彼氏とも別れてねぇ」
結局は触れられて幸子はムッとした。