「そんなに憧れてたんだ」

「そりゃあね」

 ほとんどの傭兵からその名を聞けば憧れもするよ。

「へえ」

 肩をすくめるダグラスに幸子はそのベリルという人物に興味を抱いた。

 とはいえ、根掘り葉掘りと訪ねるのも気が引ける。

 少しずつでも聞き出したい。

 幸子の心情はあたかも、警察署の取調室で容疑者の向かいに座る刑事を彷彿させた。

 とにかく、どうやって聞き出そうかと、この現状においての緊張感を吹き飛ばす作戦を練り始める。