最凶の天使

「でも──」

 幸子は声を低くしてぽつりと、

「よく傭兵になったわね」

「あれ、話戻された」

「だって気になったのよ」

「ゆきちゃんはどんな仕事してるの」

「ただの事務よ」

 職場に対する多少の不満が声色に含まれている。

 大体の職場というものはそういうものだろう、それくらいの不満で済んでいるという事でもある。

「事務にも色んな人がいるでしょ」

「うん」

「それと一緒」

 同じだと言われても納得は出来ない、事務と傭兵が同じ立ち位置にあるとは思えないからだ。