最凶の天使

「結局、作戦は成功して俺も助かったわけ」

 でも、もし助けたのがベリルじゃなかったら親に殺されかけた俺はどんな人生を送っていたか知れない。

 それほどに、ベリルという存在はダグラスにとって大きなものだった。

「俺を引き取ってくれたことには感謝してるよ」

 だから、道を踏み外さなかった。

 俺の前で、しっかりとその背中を見せてくれていたから。

 若干、照れながらも誇らしげに発したダグラスに幸子も笑みを浮かべた。

 こんな風に話すベリルという人はきっと、とても良い人なんだろう。

 引き取って育ててくれたという事は、育ての親でもある人なんだな。