最凶の天使

「おふくろは強い男が好きだったらしいから」

 名うての男たちをいつも狙っていた。

「その中に俺の本当の親父がいたんだろうね」

「あなたには悪いけど、その人もその人よね」

「そうかもね。でも父さんは女に弱かったって言うし、おふくろが嘘を吐いてたかもしれない」

 小さく笑んで肩をすくめた。

 誰しも母の事を知っている訳じゃない。

 彼氏や夫もおらず、子も産めない体と言われれば大抵の男はそこで心が傾くだろう。

「子供が出来たらって思うと躊躇うだろ」

「確かにそうだけど」