さらりと発した名前は、きっと師匠の名前なんだろう。 幸子は察して続きの言葉を注意深く聞き入る。 「ホントに聞きたいの?」 「はやく」 話の腰を折られたようでダグラスをきつく睨んだ。 恨むならあたしを巻き込んだ事と暇な時間を恨みなさい。 魔女さながらに心の中で高らかに笑う。 躊躇いがちに幸子を一瞥したダグラスを可愛く思い、早く話せと肘でこづいた。 ダグラスは何をそんなに聞きたいんだろうと眉を寄せ、小さく溜息を吐き出す。