最凶の天使

「多分ゆきちゃんの考えてることの方が可愛いと思うけどね」

 あたしが何考えてるか解ってて言ってるのかしらこの人……。

 とダグラスを見上げる。

 改めて見つめると、整った顔立ちにやはり見とれてしまう。

 これで傭兵だと言うのだから信じられない気はする。

 同性に好かれていても不思議じゃ……はたと考えて頭を振った。

「あのとき──」

 ベリルがいなかったら、俺は死んでいたかベリルの敵になっていたかもしれない。

 ゆっくりと紡がれた言葉に幸子はのしかかる重苦しい過去を感じた。