「傭兵というよりもレンジャー能力かもね」

 幸子の考えを察したのか、説明するように応える。

「レンジャーってテレビでよく見る自然公園とかの?」

「まあ大体そんな感じ」

 説明が面倒なのか、かなり適当な受け答えをされた感に幸子の目が吊り上がる。

 こいつ絶対あたしを舐めきってるわね。怒りの念をさらに強めた。

「しばらくしたらまた移動ね」

 それに頷くと、山道に例の人影が見えて幸子は思わず身を縮める。

 ふと左に何か見えてそちらに視線を向けた途端、蜘蛛の姿が──

「ムグッ!?」

 叫びかけた幸子の口をダグラスが塞いだ。