しかし、ここでこうしていてもらちがあかない。 「山を下りるか」 「賛成」 小さく手を挙げる。 「走れる?」 「高校の時は陸上部にいたわ」 「じゃあちゃんとついてきてね」 ダグラスは暗闇に気配を探りつつ軽く柔軟した。 幸子もそれに続くようにあちこちの間接を伸ばして回す。 幸子に視線を送るとダグラスは無言で頷き草むらから足早に駆けていった。 幸子もそれに続いて草むらを飛び出し、距離を保ちつつ追いかける。