「傭兵ってそんなこともするの」

「フリーだから傭兵だけじゃ稼げないんだよ」

 苦笑いで肩をすくめる。幸子は彼の言葉にきょとんとした。

「傭兵ってみんなフリーじゃないの?」

「大半はどっかの企業に所属してるよ。華やかな仕事でもないし」

「そうなの?」

 幸子はテレビや映画などで見る兵士の姿を思い起こしていた。

「軍人とごっちゃにしてないだろうね」

 彼女の考えを悟ったのか、呆れた物言いで見つめる。

「ち、ちがうわよ!」

 つい声を荒げてしまい、青年に「シッ」と軽く怒られた。

 なんで自分が怒られなければならないのかと、理不尽な扱いに頬を膨らませ彼の次の言葉を待つ。