幸子は意識を切り替えて話題を戻す。

「それでその預かりものってなによ」

「ん~?」

 こいつまたすっとぼけるんじゃないでしょうねと幸子はダグラスに睨みを効かせた。

「簡単に言えば空気を振動させて衝撃波を生み出すマシンの設計図かな」

「は? 戦闘機とかの?」

「そう」

「ピンポイントに音を伝えるという研究は広く知られているところだろうけど、これは武器の方」

「SFみたいね」

「そうだね」

 棒読みの返しに幸子はムッとする。

 ひとを小馬鹿にしてるわねこいつ。