まるで映画のような出会いとシチュエーションだが、麗しの青年は映画のようなキラキラする展開にはさせてくれそうにもなかった。

 こんなに格好いいのになんてことなんだろう。

 幸子は落胆の色が隠せず大きく溜息を吐く。

 そんな女性を見て小首をかしげるダグラスに、

「こいつ鈍感なの?」という目を向ける。

 幸子は気を取り直して青年を見つめた。

「それでダグラスさん?」

「ダグでいいよ」

 周囲の気配を探りながら応える。

 幸子が見える範囲で周りを見渡してもなんの気配もしないのに、彼は一体、何を探しているんだろう。