都心から離れた山の中腹、年の頃は二十代後半の女が道から外れた草むらで息を潜めていた。 「なんであたしがこんな目に遭わなきゃならないのよ」 口の中でぶちぶちと文句を垂れる。 山といってもさほど高くはない、家族連れがハイキングに来る程度の簡単な道のりだ。 そのため、女性の服装もかなりの軽装である。 ハニーブラウンに染めた髪を肩まで伸ばし、左を髪留めで固定していた。 そろそろ陽も傾きかけ、夏も終わりにさしかかる季節は少々、肌寒さを感じさせる。