私はとっさに目をつぶった。 ぐしゃ… 私の頭を大きく暖かい手がなでる。 「そんなに警戒しなくても大丈夫だって…」 「へ?」 「お前は上向いてろよ」 そうか、姫川先輩も、私と佐倉先輩を、重ねてるんだね…。 「行くぞ」 「え?」 「行くんだろ?南波のとこ」 「あ…はい…」 何でか悲しくなった。 私をなでる大きな手が、姫川先輩の優しい目が私を向いていなくて…