「解らないな」

「解らないですね」

佑桜は恐る恐る脈を計るが、正常に動いていた。そして老人を左右に揺さぶる。
「起きてください。」

言った時だった。
「起こさないで!」

佑桜と佐田は後ろを振り返ると、容姿端麗な女が居た。

「その老人を眠らせてあげて。」
女が言った。

「君は?」
佐田が問う。

「私は後藤(ごとう)と言います。私も一週間前、その老人を起こそうとしました。ですがとても悲痛な声で寝ながらですが、お願いだから起こさないでと頼まれました。」

続けて後藤は言う。
「私はあのとても悲痛な声を忘れられません。起こすのなら、私はあなた達を容赦しません。」

この止める者に、佑桜と佐田は困り果てる。