佑桜は民宿があった場所に居た。

「佑桜さん!」
佐田の声だ。

「此処に居ると思いました。」
後藤も無事だ。

佑桜は言う。
「今まで何か起きてたよな?」

3人は何かを忘れてしまっていたが、ただ何者でも無い自分という者に戻った。

もう真夜中だろうか。すっかり暗くなっていた。

「佑桜さん、風車町まで送ってください。」

「私も、送って貰えませんか?」
後藤も頼んだ。

「送るに決ってるだろ。」

向こうの世界の記憶は消えてしまったようだ。

佐田はしばらくバイトをさぼってしまい、クビだと嘆く。
後藤は家を一週間前から連絡もせず出ていて、夫にどう話せば良いか困っていた。
佑桜はというと、明日は寝不足だと確信していた。
3人はそんな事を車の中でのんきに話ていた。